ヒョンデ IONIQ 5/アイオニック5試乗記、新たに日本へ再上陸したその勝算を探る

2022年8月に日本へ再上陸した現代自動車。ブランドの名称もヒュンダイからヒョンデへ変更してイメージを一新させたいという意図も強く感じられるのだが、そんなヒョンデから2021年にデビューしたIONIQ5の姿を都内で見かけたときは、そのあまりにも斬新で近未来的なプロポーションに目を奪われてしまったことは強く印象に残っている。実際に改めてIONIQ5を目の前にしても、その印象は薄れることは無かったのだが、角張った見た目からは80年代〜90年代の日本車がもっていたシルエットを個人的には思い起こされ、ノスタルジックな感情をもたらされてしまうところもとても新鮮である。

IONIQ5について

アイオニック5の原型となるコンセプトカーは、すでに2019年の時点で登場しているのだが、驚くべきことにほぼ同じデザインで量産化にたどり着いている。ヒョンデとしても新開発のプラットフォームE-GMPと呼ばれる電気自動車のプラットフォームを初採用し、将来のEV展開の起点となる車であることは間違いないだろう。

駆動方式は、2輪駆動と4輪駆動がそれぞれ用意されていて、グレードによってモーターの出力も異なる。最上位グレードのLoungeの4輪駆動モデルで、システム合計225kWというパワーを発揮している。航続距離もグレードによって異なるが、いずれも約400km〜500kmの間となっている。車重はこちらもグレードによって異なるが、1870kg〜2100kgという電気自動車であることを考えれば致し方ない車重となっている。

IONIQ5に実際に乗ってみて

カーシェアという形で実際にアイオニック5に乗ることができた。利用したサービスはDeNAが展開するAnycaというサービスなのだが、ヒョンデ側より車の提供がされているのか、サービス上でこのアイオニック5のページヘ移動すると、ヒョンデのアイオニック5購入キャンペーンへ誘導するリンクが貼ってあるのだ。

改めてアイオニック5を目の当たりにしたデザイン以外の率直な感想をいうと、想像以上に大きいぞという感情が多くを占めていた。これは町中で見かけた時のサイズ感の対比、事前に4人乗りの電気自動車であるという情報からの対比故によるものなのだが、カテゴリ的にも事前の情報でSUVであるという認識は全くもって無かったのだ。そのようなことから想像よりも大きいぞ、という感想を持ったのだ。その大きさを主張するのに車幅もあるのだが、全長の長さも運転時の取り扱いはどうなのだろうか?という想像を掻き立てられるほどのものだ。

実際に車に乗り込んで電源を入れてから発進させるあいだも、あまりにも未来的なインターフェースが理由なのかもしれないが、どうしてもドライブモードに入れることができず数分間格闘してしまったのだ。

ただし、いざ走り出してしまえば車のサイズ感についての不安も消え、電気自動車ならではの静けさとトルク感を感じる新鮮なドライブがスタートした。ドライブコースは市街地と首都高速を走るオールマイティーなものだが、このアイオニック5の魅力を感じるには十分すぎるほどだった。

まず、最初に操作感の慣れは必要なものの、日常的な取り扱いに関してはあまりにも十分すぎるほどの使い心地を体感できた。これは単純に車としての性能、例えば乗り心地や運転してる上でのストレスの無さに由来するものなのだが、これらの違和感は皆無といっていいだろう。

細かなドライビングインプレッションをするのであれば、やはり車体の重さは感じるものの、街乗りや高速道路での車線変更時などに加速するぶんには全くストレスのない加速をしてくれるし、むしろ走行時の静けさが快適度に寄与している部分も大きいだろう。

アイオニック5とのドライブを終えてみて、自分自身が電気自動車を購入するかどうか真剣に考えさせられる機会となった間違いない。しかし、航続距離や充電場所ということがネックなのは電気自動車である以上は仕方のない部分でもあり、これを解決するためにはもはや住む場所を変えなければどうにもならないという現実がなかなか世知辛い世の中だなぁと思うのであった。